当然のことながら、高齢になるほど病気やケガのリスクは増大していきます。特におひとりさまの場合、急病時にサポートをしてくれる方が居ない場合も多く、大きな問題となります。
階段はもちろん、家の中の小さな段差でも大きなケガに発展してしまうケースも少なくなく、キッチンや浴室なども、痛ましい事故が起きてしまう可能性は年齢とともに上がっていきます。冬場には急激な温度変化が原因で心筋梗塞や脳卒中になってしまう「ヒートショック」も発生しえます。
また、認知症も無視できないリスクの一つです。一人暮らしの場合、認知症になっても誰にも気付かれずに症状が悪化し、最悪の場合には事故に巻き込まれたり、そのまま孤独死してしまう可能性もあります。
日本には公的年金があるので、ある程度の老後の生活をカバーすることはできます。しかしながら、金融広報中央委員会よる「家計の金融行動に関する世論調査」によると、年金については「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答した世帯が 52.6% にものぼります。つまり、半数以上の世帯は「年金だけでは苦しい」と感じているということです。
それに加えて、世界情勢や金融情勢の変化による物価高によって資産価値が目減りしてしまう可能性や、手術や入院、介護などによって想定外の高額な出費が発生してしまう可能性も無視できません。年金とは別に、老後の資金についての備えをしておく必要があると言えるでしょう。
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」
高齢者の場合、賃貸物件を新たに契約しようとしても、賃貸物件のオーナーや不動産会社に断られてしまうケースが問題となっています。事故や孤独死が起きてしまったり、家賃の未払いが起きてしまったときに請求できないのでは、といった不安から、契約において二の足を踏んでしまうようです。
2016年に国土交通省住宅局が発表したレポートには、高齢者は賃貸契約を忌避されること、契約の際には保証人か保証会社をつけることを強く要求されること、さらにはその保証会社の審査においても高齢者は通りにくいことなどがまとめられています。
仮に賃貸契約を結ぶことに問題がなかったとしても、バリアフリーを意識した高齢者にやさしい住宅を探すのには時間も手間もかかります。前項の"経済面のリスク"と関係してくるところでもありますが、老後の住まいについては、早め早めに計画しておくほうが安心かもしれません。
出典:国土交通省「家賃債務保証の現状」
高齢者に降りかかるリスクの中で、あまり知られていないのが、身元保証にまつわるリスクです。前項の"住まいのリスク"について言えば、持ち家であったり、問題なく保証会社の審査を通過すれば保証についての懸念はなくなりますが、保証人が必要なのは賃貸契約においてだけではありません。
この"身元保証"がどういったことを指すのかについては、次の項目にて詳細に解説します。